
都市部の小区画と郊外の広め区画、結局どっちが得?



収量・手間・総額を比較したら、私は10㎡・20㎡・30㎡のどれが最適?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
「都市部の小区画で手軽に始めるか」「郊外で広めの区画を確保するか」。費用だけでは決め切れません。
収量(どれだけ採れるか)と手間(どれだけ通うか)、そして距離が総額に与える影響を同じ物差しで見ないと、時間とお金のバランスを外しがちです。
本記事では、総額の出し方を前提に、区画サイズ別の収量と作業時間の実感レンジ、都市部と郊外それぞれの得手不得手を整理。最後に、あなたの前提に合わせて選べる簡易フローも用意します。
- 続けやすさは「距離×区画サイズ×週あたり時間」で決まる。近い小区画は総額も時間もぶれにくい。
- 週1往復・60〜90分なら都市部10㎡が最適。収量は20〜35kg(春夏合計)で手間が軽い。
- 家族で分担・車あり・90〜120分確保できるなら20㎡。収量45〜70kg、草と給水対策が前提。
- 120〜150分以上やれる/防草・保水を徹底できる人だけ30㎡。収量70〜110kgだが管理負荷が大きい。
- 判断の目安:片道30分以内+総額(月)が地代×1.3〜1.5以内+週あたり時間に収まるサイズ=「得」。
- 迷ったら三候補を同日見学し、駐車動線・水場・園路を10分で確認。遠くて安いより「近くて回せる」が勝つ。
貸し農園郊外と都市部|比較のものさしと前提(総額・収量・手間)


- 総額(月)= 地代+資材(月換算)+交通費+必要なら代行
- 収量(春夏合計)= 区画サイズ×作付け構成×作柄補正(天候)
- 手間(時間)= 通園時間+滞在時間(作業の山に左右される)
前提の目安(都心例/郊外例)
| 項目 | 都市部の小区画(例) | 郊外の中区画(例) |
|---|---|---|
| 片道距離・時間 | 6km・20〜30分(自転車/電車+徒歩) | 12km・30〜40分(車) |
| 区画サイズ | 10㎡(小) | 20㎡(中) |
| 通園頻度 | 週1〜1.5往復 | 週1.5〜2往復 |
| 資材(月換算) | 初年度1,000〜1,500円/2年目500〜1,000円 | 初年度1,200〜2,000円/2年目700〜1,200円 |
| 交通費の考え方 | 公共交通は定期内か都度/自転車は0円扱い | ガソリン170円L・燃費14kmLで試算 |
そのまま使える試算式(コピペ用)
総額(月)= 地代 + 資材(月) + 交通費 + 代行(月平均)
交通費(月)= 片道km × 2 ×(週回数×4)× ガソリン単価 ÷ 燃費
収量(春夏合計の目安)= 区画㎡ × 2.0〜3.5kg(作付け構成と天候で増減)
手間(時間/週)= 往復時間 × 往復回数 + 滞在時間(30〜90分)
貸し農園郊外と都市部|区画サイズ別の実感レンジ(10/20/30㎡)


費用は地代だけでなく総額で管理すると判断がぶれません。詳しくは 総額の出し方と節約術へ。
作業の山は「定植期」「梅雨前の草対策」「真夏の水やり」「秋の片付け」。
サイズが大きいほど収量は伸びますが、草と給水の負担が先に増えます。
無理なく回すなら、週あたり時間の目安と「何を植えるか」を先に決めておくのが近道です。
| 区画サイズ | 植えられる例 | 収量目安(春夏合計) | 時間目安(週) | 作業の山 | 資材の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10㎡(小) | トマト2・キュウリ2・ナス2・葉物少し | 20〜35kg | 60〜90分(週1〜1.5往復) | 梅雨前の防草/夏の給水 | マルチ12m・短尺支柱20〜30本 |
| 20㎡(中) | 上記+サツマイモ1畝・枝豆列 | 45〜70kg | 90〜120分(週1.5往復) | 草対策と水やり頻度が増える | マルチ21m・短尺40〜50本 |
| 30㎡(大) | 上記+トウモロコシ・カボチャなど蔓物 | 70〜110kg | 120〜150分(週2往復寄り) | 夏の管理負荷が高い | マルチ32m・短尺60〜80本 |
- 都市部で週1往復が限界なら10㎡から。草と給水を抑えれば満足度は高い。
- 家族で作業を分担できる・車運用なら20㎡。収量の伸びと引き換えに草の管理が課題。
- 30㎡は「作付けを絞れる人」向き。蔓物を入れると管理時間が一気に増える。
貸し農園都市部と郊外の「総額×収量×手間」比較シナリオ


ここでは現実的な3パターンを同じ物差しで比較します。
数値はレンジ(幅)で示し、判断の軸は「月の総額」「春夏合計の収量」「週あたりの時間」です。
交通費は前章の式で概算、資材は初年度/2年目で差を付けています。
ケースA:都市部10㎡(片道20〜30分/週1〜1.5往復)
- 総額(月):地代9,000〜12,000円 + 資材1,000〜1,500円(2年目500〜1,000円)+ 交通費0〜800円 = 約10,000〜14,000円
- 収量(春夏):20〜35kg
- 時間(週):60〜90分(週1〜1.5往復)
- メリット:近さで続けやすい/給水・草の負担が小さめ/小物中心でも満足感が高い
- 注意:大物(イモ・トウモロコシ・カボチャ)を詰め込み過ぎない。品目を絞ると失敗が減る
ケースB:郊外20㎡(片道30〜40分/週1.5往復/車)
- 総額(月):地代6,000〜8,000円 + 運営費年割900〜1,200円 + 資材1,200〜2,000円(2年目700〜1,200円)+ 交通費900〜1,400円 = 約9,000〜12,500円
- 収量(春夏):45〜70kg
- 時間(週):90〜120分(週1.5往復目安)
- メリット:収量が伸びやすい/大物を入れやすい/単位面積あたり地代は低め
- 注意:草と給水の負荷が増える。夏に頻度を上げすぎると交通費と時間で逆転する
ケースC:近郊30㎡(片道30〜40分/週2往復寄り/家族運用)
- 総額(月):地代7,000〜9,000円 + 運営費年割900〜1,200円 + 資材1,800〜2,800円(2年目1,200〜2,000円)+ 交通費1,200〜1,800円 = 約11,000〜15,800円
- 収量(春夏):70〜110kg
- 時間(週):120〜150分(週2往復寄り)
- メリット:家族で分担すれば収量が大きく伸びる/蔓物や連作回避の配置が楽
- 注意:管理負荷が高い。防草と保水を先に決めないと夏に崩れやすい
効率の見方:kg単価と時間効率
| ケース | 月の総額 | 収量(春夏) | 概算kg単価 | 時間(週) | 時間効率の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| A:都市部10㎡ | 1.0〜1.4万円 | 20〜35kg | 約290〜700円/kg | 60〜90分 | 約0.7〜1.5kg/時 |
| B:郊外20㎡ | 0.9〜1.25万円 | 45〜70kg | 約130〜280円/kg | 90〜120分 | 約1.2〜2.2kg/時 |
| C:近郊30㎡ | 1.1〜1.58万円 | 70〜110kg | 約100〜230円/kg | 120〜150分 | 約1.4〜2.8kg/時 |
- 時間が限られる人はAが最有力。「近い×小区画×品目を絞る」で満足度が安定。
- 家族運用・車ありで作業を分担できるならB。大物を入れても回しやすい。
- 収量重視ならC。ただし防草・保水の初手(マルチ+通路防草+給水動線)を先に決める。
- 「遠くて安い」を選び、夏に往復が増えて総額と時間で逆転。
- 判断は常に「片道30分以内」+「総額(地代×1.3〜1.5)」+「週あたり時間に収まるか」で固定します。
貸し農園郊外と都市部|あなたの前提別フローチャート(選び方)


作れない→最寄りの園を優先。作れる→次へ。
60〜90分:10㎡/ 90〜120分:20㎡ / 120〜150分:20〜30㎡
超える→距離短縮か区画縮小。収まる→次へ。
決められない→10〜20㎡で練習。決められる→20〜30㎡も可。
駐車動線/園路幅/水場の届き/資材置き/午後の影・排水を確認。
残った1〜2園のうち「近い×回せる」方を選ぶ。
そのまま使えるメモ(埋めるだけ)
片道時間:__分 候補A/B/C:__/__/__
週あたり確保時間(往復含む):__分 → 目安サイズ:__㎡
総額(月)= 地代__+資材__+交通費__+代行__ = __円
夏の対策:防草__/保水__/給水動線__
現地10分チェック:駐車__/園路幅__/水場__/資材置き__/影・排水__
最終候補:__園 → 決め手:__
貸し農園郊外と都市部|見学日の回し方(同日3園テンプレ)


三候補は自宅から近い順に配置し、一筆書きで午前2件→昼に買い出し→午後1件が基本。渋滞時間帯を避け、園内では「駐車動線→区画→水場→資材置き→園路幅」の順に10分で可否を出します。
前日準備(30分で完了)
- 三候補の住所と駐車位置、見学時間枠(午前2・午後1)を確定
- 地図アプリで一筆書きルートを作成(ホームセンター・直売所を途中に配置)
- 見学メモを印刷またはスマホに保存(10分チェック項目に丸を付けるだけ)
- 持ち物:軍手・帽子・歩きやすい靴・メジャー・スマホ・飲み物
当日のタイムライン(例)
| 時刻 | 行程 | チェックの着眼点 |
|---|---|---|
| 09:30 | A園 見学(10〜15分) | 駐車位置と出入り/園路幅1.2m以上/区画までの動線 |
| 11:00 | B園 見学(10〜15分) | 水場の蛇口数・届く範囲/足元の排水/資材置き |
| 12:00 | ホームセンター・直売所 | 資材の品揃え・距離を確認(今後の動線短縮) |
| 13:30 | C園 見学(10〜15分) | 午後の影/風の抜け/掲示・連絡手段の有無 |
| 14:30 | 即日判断 | 減点が少ない順に、近さと総額で即決 |
現地での確認は 10分チェックリストに沿えば迷いません。
連絡テンプレ(電話/フォーム)
電話:「〇月〇日(〇)に見学希望です。所要時間と駐車場所、当日の持ち物を教えてください。午前2枠・午後1枠のうち空きがあれば仮押さえをお願いできますか。」
フォーム:「〇月〇日(〇)午前/午後の見学希望。大人◯名・子ども◯名・車◯台。所要時間と駐車位置、仮押さえ可否と期限をご教示ください。」
現地10分チェックの最小セット
- 駐車動線:右折進入連続・長距離バック・路上待機が常態化していないか
- 園路と足元:台車が通れる幅/段差や泥濘の有無
- 水場:蛇口数・ホースの届く範囲・足元の水たまり
- 資材置き:置ける場所・屋根の有無・サイズ
- 日当たりと風:午後の影・風の抜け・雨後の排水
今日やること(埋めるだけ)
候補A/B/C(住所・駐車位置):__/__/__
片道時間:__分 週あたり確保時間:__分 → 目安サイズ:__㎡
総額(月)= 地代__+資材__+交通費__+代行__ = __円
見学予約(午前/午後):__ / __ / __
即決の基準:距離__・総額__・10分チェックの減点__
貸し農園であると便利なアイテム(区画サイズと手間を整える)


本記事の要点は「防草・保水・給水動線」を先に決めること。道具は最小構成で始め、必要になった順に追加します。下のアイテムは、10㎡/20㎡/30㎡のいずれでも使い回せ、夏場の崩れを防ぐ効果が高いものです。
- 通路防草+畝マルチ:草刈り頻度と潅水頻度を同時に下げられる
- 伸縮ホース・ジョイント:水場からの「届く/届かない」を解決
- 折りたたみバケツ:給水・収穫・洗い物の動線を短縮
- 短尺支柱(本数を小分けで):必要列から順次追加して無駄買いを防ぐ
- 10㎡:通路防草は最優先。ホースが届かない時は折りたたみバケツで代用。
- 20㎡:畝ごとにマルチを早めに。支柱は短尺を列ごとに追加して「使わない在庫」を作らない。
- 30㎡:通路防草+ホース動線の確立が先。夏は「蒸散を減らす順番」で作業(草→潅水→マルチ補修)。
貸し農園郊外と都市部でよくある質問(FAQ)


- 都市部10㎡でも収量は十分?
-
品目を絞れば春夏で20〜35kgが狙えます。
葉物・ナス科・インゲンなど回転の良いものに寄せ、イモ類や大型ウリ科は無理に詰め込まないのがコツです。
- 郊外20㎡は交通費が上がって損では?
-
収量が45〜70kgに伸びやすく、kg単価で見ると有利になるケースが多いです。
ただし週の往復回数が増えると逆転します。片道30〜40分・週1.5往復以内が目安です。
- 30㎡に挑戦したいが、夏の管理が不安。
-
最初に「通路防草+畝マルチ+給水動線」を固定すると崩れにくくなります。
家族で分担し、週120〜150分の作業時間を確保できるかを先に確認してください。
- 総額の判断基準は?
-
「地代×1.3〜1.5以内」に総額(月)が収まれば無理が少ないです。
初年度は資材が上振れ、2年目は下がるので年平均で見ましょう。
- 見学で絶対に外せないチェックは?
-
駐車動線/園路幅1.2m以上(台車可)/水場の届く範囲/資材置きの有無/午後の影と排水。
10分で可否を出し、減点が多い園は即除外します。
貸し農園郊外と都市部|判断基準と次アクション


本記事で重要なことまとめると以下の通りです。
- 判断は「距離×区画サイズ×週あたり時間」で固定。迷ったら近さを優先。
- 10㎡:週60〜90分で満足度を安定させたい人向け。
- 20㎡:家族で分担できる・車運用があるなら収量と楽しさが伸びる。
- 30㎡:防草・保水・給水動線を先に決められる人だけ。夏の管理負荷に注意。
- 総額は地代×1.3〜1.5以内が目安。超えると長続きしにくい。
- 同日3園で10分チェック→減点法で即決。「遠くて安い」より「近くて回せる」が得。
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