
収穫ピークって、ケガやヒヤリが増えるのはなぜ?



子ども連れでも、混んだ園で安全に収穫できますか?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
収穫が重なる時期は、作業が増えて判断も急ぎがちです。
そのときこそ「安全ルーティン」を決めておくと、焦らずケガやトラブルを避けられます。
本記事では、貸し農園で守るべき基本ルール(園の細則)を入り口に、到着前の準備・区画内の動線づくり・刃物や脚立の扱い・熱中症やスズメバチ対策・子どもの安全な関わり方まで、現場ですぐ使える流れでまとめました。
各項目は短い手順に落とし込み、家族分担にも転用できる形にしています。
今日の収穫日から“同じ順番で”回すだけで、ヒヤリを減らし、気持ちよく畝を守れるようになります。
- 収穫ピークほど「決まった順番」で動くと事故が減ります(確認→作業→整頓)。
- 園の細則(時間・音・資材・火気・車両)に沿い、「1分点検・3点固定・声かけ」を徹底します。
- 子ども同伴時は動線を分け、刃物・支柱・脚立の扱いと熱中症対策を“最初に”決めておきます。
貸し農園安全ルール|ピーク時ほど「定型化」で事故は減る


安全は根性論ではなく“手順化”で守ります。
収穫が重なる時期は、判断が速くなり、動作も増えます。
そこで「毎回同じ順番でやること」を先に決めます。
- 確認(1分点検)
- 作業(収穫・運搬)
- 整頓(刃物収納・足元清掃)の固定サイクルです。
区画に着いたら最初の60秒で危険源(倒れそうな支柱、脚立の置き場所、蜂の出入り、滑りやすい泥)をチェック。
次に作業へ進み、最後は刃物の刃を保護して収納、支柱を束ね、通路を1本通す—ここまでが1セットだと覚えておくと、焦りに引っ張られません。
また、3点固定(荷物は地面・体・道具の3点で安定させる/脚立は地面2点+体1点)と、声かけ(「刃物いきます」「脚立動かします」)を家族内ルールにします。
たったこれだけで、ヒヤリの多くが未然に消えます。
安全は“良い癖を増やす”こと。
ピーク時の省力化こそ、定型化の出番です。
貸し農園安全まず確認:園の細則に沿った基本ルール


各園には共通の運営ルールがあります。
収穫ピーク時は作業量が増えるため、細則の「グレー」を先に白黒つけておくと混乱しません。
最低限、以下を事前に確認しておきます。
時間帯・音・火気・資材の可否
- 時間帯:早朝・夕方の作業可否、照明使用の可否。静音時間がある園では音量・会話も配慮します。
- 音:電動工具・資材加工(支柱切断など)の扱い。禁止または時間指定が多い項目です。
- 火気:焚き火・焼却は原則不可。ガス器具・バーナー類も禁止が一般的です。
- 資材:ネット・マルチの規格、高さ制限、色の指定、ペグの種類(通路貫通の禁止など)。
子ども同伴・ペット・車両乗り入れ
- 子ども同伴:刃物・脚立から3mの分離、通路の占有禁止、走行の制限。見学スペースの指定があれば従います。
- ペット:リード長・入場可否・糞の持ち帰り。農地では作物・他者区画への侵入防止が必須です。
- 車両:乗り入れ可否、駐車位置、収穫物の積み下ろし動線。通路の一時占有は短時間で、合図を出します。


貸し農園収穫日の安全ルーティン(到着前→撤収)


当日の動きは「到着前の準備 → 現場60秒点検 → 作業中の合図と分担 → 撤収チェック」の順で固定化します。
毎回同じ順番にすると、家族での引き継ぎも滑らかになり、ヒヤリが激減します。
到着前チェック(持ち物・服装・天候)
- 服装:つば広帽・長袖長ズボン・滑りにくい靴。手袋は作業用と収穫用を分けます。
- 持ち物:水1人500〜1000ml、塩分タブレット、携帯・笛(合図用)、救急セット(消毒/絆創膏/テーピング)、虫よけ・ポイズンリムーバー。
- 刃物類:刃カバー装着、鞘の緩み確認。持ち運びは刃を下・体の外側で固定。
- 天候:気温・WBGT・雷注意報・風。雷注意は「金属支柱から離れ、直ちに退避」を事前合意。
- 連絡:到着・退去のメッセージテンプレを家族グループに固定表示。
現場での60秒点検(危険源と動線)
- 足元:ぬかるみ・泥はね・露出したペグ。通路に1本「安全ライン」を通します。
- 上方:支柱の傾き・結束の緩み・ネットの破れ。風向きを見て補強の有無を判断。
- 生き物:巣の出入り(スズメバチ等)・アリの行列・マムシ注意の掲示。異常があれば近づかない。
- 器具:脚立の接地、刃物の置き場(腰より下・通路外側)。子ども動線と3m分離を確保。
- 合図:作業開始前に「刃物いきます/脚立動かします/収穫運搬通ります」を声出しで共有。
作業中の合図と分担(省力化しながら安全確保)
- 合図の型:「刃物」「脚立」「通路占有」「運搬」それぞれ声かけ→相手の返答→作業開始の3ステップ。
- 3点固定:脚立は左右と前後の揺れが出ない地面に。荷物は地面・体・道具で3点固定して安定化。
- 動線分け:収穫物の搬出路と作業路を分け、交差点に「待避スペース」を1か所つくります。
- 休憩ルール:30〜45分ごとに日陰で3〜5分、給水と脈・顔色確認。気温30℃超は作業時間を短縮。
撤収チェック(刃物・支柱・ゴミ・施錠)
- 刃物:刃カバー装着→本数点呼→腰より下の収納に固定。
- 支柱・ネット:先端を束ね、通路側に突起を出さない。風予報が強い日は簡易当て木を追加。
- ゴミ:針金・結束バンドの切れ端を回収。土の上に残さない。
- 散水:夕方は泥はね防止の低圧散水。通路に水たまりを作らない。
- 施錠・最終確認:荷物・鍵・スマホの三点呼称。退去メッセージを家族グループに送信。
貸し農園子どもと一緒の運用ルール|安全動線と役割づくり


子ども同伴は学びが多い一方、リスクも上がります。
「動線分離」「役割付与」「待避場所」の三点で設計します。
動線分離:刃物・脚立から3m
- 区画に「キッズ線」を引き、刃物・脚立エリアから3m以上離します。視覚的に分かるテープが有効です。
- 通路は走らない。運搬時は子ども側が止まり、大人が先に通過する“右優先”などの簡単ルールを統一。
役割付与:安全に関われるタスクを先に用意
- 収穫容器のカウントと整列、ラベル貼り、葉くずの回収など「座位・低リスク作業」を割り当てます。
- 水やりはじょうろ1杯の範囲、苗の本数確認、写真記録係(同じ角度で撮る)なども有効です。
- 「危ない時の言葉」を決める(例:「ストップ!」で全員静止)。声かけ練習を1分で済ませてから開始。
待避場所:暑さ・蜂・雷に備える
- 日陰・ベンチ・水場など待避スポットを到着直後に共有。体調サイン(顔色・汗量・だるさ)を確認。
- 蜂を見たら近づかない・手で払わない。黒い帽子は避け、明るい色の上着を基本にします。
- 雷鳴が聞こえたら作業中断。金属支柱・水場から離れ、車や管理棟へ移動します。


貸し農園で使用する刃物・支柱・脚立|ケガを防ぐ安全な基本操作


収穫ピーク時は「置き場の乱れ」が事故の引き金になります。
刃物・支柱・脚立は“置き方と合図”を先に決めておくと、安全度が一気に上がります。
刃物(剪定鋏・収穫包丁・ノコ)
- 携行は刃カバー必須。持つ向きは刃を下・体の外側に、通路側へ刃を向けない。
- 置く場所は「腰より下・通路外側・目印テープ上」。作業移動の前に必ず刃を収納。
- 手渡しは柄を相手へ。声かけ「刃物いきます」→相手の返答→手渡し。
- 撤収時は本数点呼(行き3/帰り3)。忘れ物ゼロの型を固定します。
支柱・結束(トマト・キュウリ・豆類)
- 先端キャップかビニールを被せ、通路側の突起ゼロに。風向きを見て打ち込み角度を微調整。
- 結束は茎を締めすぎないソフトタイ。交差部に“当て木”を入れると曲げ折れを防げます。
- 雨・強風予報の日は、早めに追加の横筋を一本入れておくと転倒が激減します。
脚立・踏み台
- 設置は水平・硬い地面を選びます。ぬかるみは板で養生し、三点支持(両足+片手)を守る。
- 上から二段目より上に立たない。移動前は必ず「脚立動かします」と声をかけてから。
- 子ども動線は3m分離。作業路と搬出路が交差する箇所に待避スペースを1か所作ります。
貸し農園での熱中症・刺咬害虫・雷雨|季節リスクの優先順位


季節リスクは「即時に命へ影響しやすい順」に対応します。
夏場は熱中症、初夏〜秋はスズメバチ、積乱雲の日は雷を最優先に回避します。
熱中症:兆候→予防→対応
- 兆候:めまい・立ちくらみ・だるさ・汗の出方の異常。会話が遅くなるのもサインです。
- 予防:30〜45分ごと休憩/水500〜1000ml+塩分タブレット/つば広帽・長袖・冷感タオル。
- 対応:日陰へ移動・衣服緩め・頸/脇/鼠径部を冷却。症状持続や意識低下は救急要請を検討します。
刺咬害虫:近づかない・刺激しない・速やかに離れる
- 巣の出入りを見たら近づかない。黒や濃色の帽子は避け、香水・整髪料は控えます。
- 刺傷時は安静・患部を冷却。呼吸苦・蕁麻疹・吐き気など全身症状はすぐに受診・通報。
- ポイズンリムーバー・抗ヒスタミン外用薬を救急セットへ。子どもとは事前に避難合図を練習。
雷雨・突風:退避を最優先に
- 雷鳴が聞こえたら作業中断。金属支柱・水場を離れ、車や管理棟へ退避します。
- 突風前はネット・マルチの仮固定を増設。撤収後の見回りで支柱の傾きをチェック。
貸し農園でヒヤリハットが出たら|共有と見直しテンプレ


小さなヒヤリを“言語化→共有→改善”の型に乗せると、同じ失敗が消えます。
家族グループやメモアプリで回すテンプレを用意しましょう。
【ヒヤリ共有テンプレ】(1分で記入)
日時/場所:
状況:何をしていて、どこで、誰と
ヒヤリ:何が起き、何に驚いたか
原因仮説:A/B(人・物・環境)
対策:次回からの変更(合図/置き場/順番)
担当・期限:○○が○日までに
- 当日1分ふりかえり→家族グループ固定。次回の冒頭30秒で「前回の対策」をリマインド。
- 月1回、写真つきで“よかった事例”も共有。良い癖を増やすと安全は自然と底上げされます。
貸し農園安全チェックリスト(印刷用まとめ)


A4に印刷して区画に常備すると便利です。
今日の収穫から使えます。
【到着前】
□ 服装(帽・長袖長ズボン・滑りにくい靴) □ 水分・塩分 □ 救急セット
□ 刃物カバー・本数確認 □ 天候(気温・雷・風) □ 連絡テンプレ
【現場60秒点検】
□ 足元(ぬかるみ・露出ペグ) □ 上方(支柱・ネット) □ 生き物(蜂・蟻)
□ 器具(脚立の接地・刃物の置き場) □ 子ども動線3m分離
【作業中】
□ 合図(刃物/脚立/通路占有) □ 3点固定 □ 休憩(30〜45分ごと)
□ 搬出路と作業路の分離 □ 待避スポットの共有
【撤収】
□ 刃物カバー・本数点呼 □ 支柱束ね・突起ゼロ □ ゴミ回収
□ 通路の泥はね解消 □ 施錠・退去メッセージ
貸し農園安全ルールでよくある失敗と対策Q&A


- 刃物をどこに置いたか分からなくなります。
-
「刃物は必ず目印テープの上」と置き場を固定し、腰より下に統一します。
移動の前に必ず刃を収納する“声出し”をセットにします。
- 子どもが動き回り、作業が進みません。
-
刃物・脚立から3mのキッズ線と「座位タスク(容器整列・ラベル貼り・写真係)」を先に割り当てます。
交差点には待避スペースを作って衝突を防ぎます。
- 暑い日に体調を崩しがちです。
-
作業時間を短く分割し、30〜45分ごとの休憩を固定。
水と塩分補給、冷却ポイント(頸・脇・鼠径)を事前共有します。無理をしない判断が第一です。
- 強風・雷の判断に迷います。
-
雷鳴が聞こえたら即退避。突風予報はネットと支柱の仮固定を追加し、撤収後の点検をルーティン化します。金属支柱・水場から離れることが基本です。
- 家族内でルールが浸透しません。
-
「1分点検→作業→整頓」の3ステップと、声かけ3語(刃物/脚立/通ります)だけに絞って共有。
テンプレをグループに固定表示し、冒頭30秒で毎回復唱します。
貸し農園安全ルール|“同じ順番で回す”が最大の保険です


本記事で重要なことをまとめると以下の通りです。
- 収穫ピークほど「確認→作業→整頓」を固定化し、声かけと3点固定で安全度を底上げします。
- 季節リスクは熱中症→蜂→雷の順で優先対応。子ども動線は3m分離が基本です。
- ヒヤリは1分で言語化→次回の冒頭で改善を宣言。良い癖を増やせば、事故は静かに減ります。
安全が整うと、作業は驚くほどはかどります。
今日の収穫から、まずは「現場60秒点検」と「声かけ3語」をはじめてみてください。
最新情報と見学予約は公式サイトから確認して下さい。





