貸し農園での連作障害を防ぐ作付けローテーション入門

貸し農園での連作障害を防ぐ作付けローテーション入門

貸し農園で連作障害が良くないって聞くけれど、正直どこまで気にすればいいのか分からない…。初心者でも、簡単に防ぐ方法ってあるのかな?

専門書みたいな複雑な輪作表を覚える必要はありません。
貸し農園なら、区画を3つのグループに分けて、毎年ローテーションさせるだけでも、連作障害のリスクをぐっと下げられますよ。

「貸し農園 連作 障害」で検索している方は、おそらく今まさに作付け計画を考えながら、「同じ場所にトマトを続けて植えると良くないらしい」「連作障害って具体的に何が起こるの?」と不安になっているのではないでしょうか。

プロの農家向けの本を開くと、科ごとに細かく順番を決めた輪作表がたくさん出てきますが、貸し農園の10㎡前後の区画でそこまで完璧を目指すのは現実的ではありません。

大事なのは、「連作障害の正体をざっくり知ること」と、「初心者でも続けられるレベルのローテーションの型を持つこと」です。

この記事では、貸し農園ならではの前提を踏まえつつ、連作障害の基礎・区画サイズ別の考え方・3年ローテーションのモデル・どうしても同じ場所に植えたいときの工夫まで、できるだけ具体的に整理していきます。

難しい理論を丸暗記するのではなく、「これなら自分の区画でも実践できそう」という目線で読んでみてください。

この記事の結論
  • 貸し農園の連作障害は、「同じ科の野菜を同じ場所に続けて植え過ぎる」ことで、病気や生育不良が起こりやすくなる現象です。
  • 初心者は、区画を「果菜・葉物・根菜」など3つのグループに分けて、毎年畝ごとにぐるっとローテーションするだけで、リスクをかなり減らせます。
  • すべてを完璧に避けるのではなく、「起きやすい野菜」と「起きにくい野菜」を知っておき、土づくりと組み合わせて無理のない対策をすることが大切です。
  • 記録を残しながら2〜3年単位で作付けローテーションを見直していけば、自分の区画に合った「連作に強い畑」に育っていきます。
目次

貸し農園で起こる「連作障害」とは?基礎をざっくり整理

貸し農園で起こる「連作障害」とは?基礎をざっくり整理

まずは、「連作障害ってそもそも何なのか」を、貸し農園の実情に合わせてざっくり整理しておきましょう。

難しい専門用語を一気に覚えなくても、「どういうときに起こりやすいか」「どんな症状として出るか」がつかめていれば、作付けローテーションを考えるときの判断材料になります。

同じ場所に同じ野菜を続けたときの「土の疲れ」と考える

連作障害は一言でいうと、「同じ場所に同じ科の野菜を続けて植えることで、土がその野菜にとって居心地の悪い状態になっていく現象」です。

具体的には、次のようなことが重なります。

  • 特定の病原菌や害虫が、その野菜向けの「居場所」を覚えて増えやすくなる
  • 同じ養分ばかり吸われて、土の栄養バランスが偏る
  • 野菜の根から出る成分(根の分泌物)が蓄積して、次の年の生育を邪魔する

結果として、「去年は元気に育ったのに、今年は同じ場所で苗がなかなか大きくならない」「病気っぽい株が増えた」「花は咲くけれど実付きが悪い」といった形で現れてきます。

これが、いわゆる連作障害です。

貸し農園で特に連作障害が出やすい野菜たち

連作障害が起こりやすいかどうかは、野菜の「科」によってかなり違います。

貸し農園でよく育てるものの中では、次のグループが特に影響を受けやすい代表格です。

  • ナス科:トマト・ナス・ピーマン・ジャガイモ など
  • ウリ科:キュウリ・カボチャ・ズッキーニ・スイカ など
  • アブラナ科:キャベツ・ブロッコリー・ハクサイ・ダイコン など

これらはどれも人気野菜ですが、「毎年同じ場所に同じ仲間を植え続ける」と、病害虫や土の疲れが蓄積しやすいメンバーです。

一方で、ネギ類やマメ類、一部の葉物は比較的連作に強いと言われており、貸し農園では「ローテーションのつなぎ役」としても活躍してくれます。

細かい科の名前を全部覚える必要はなく、「この辺は同じ仲間なんだな」「ここは連作に弱いグループなんだな」とざっくり把握しておくだけでも、作付けローテーションを考えるときの助けになります。

連作障害かな?と思ったときに出やすいサイン

実際の畑では、「これは連作障害が原因です」とラベルが付いて出てくるわけではありません。

水やり・肥料・気温など、いろいろな条件が絡むので断定は難しいのですが、「もしかして連作が影響しているかも」と疑う目安はいくつかあります。

  • 毎年同じ場所で、同じ種類の病気が出やすい(うどんこ病・根こぶ病など)
  • 苗を植えた直後から成長が止まり、葉が黄ばんでいく株が目立つ
  • 隣の畝の同じ野菜は元気なのに、その場所だけ極端に生育が悪い

こうしたサインが続く場所があれば、次の年は思い切って別の科の野菜に切り替えるか、一度「お休みゾーン」にして土づくりに専念するのも選択肢です。

詳しいローテーションの組み立て方は、後半の章で具体的に見ていきます。

区画サイズ別に考える「ローテーション設計」の基本

区画サイズ別に考える「ローテーション設計」の基本

連作障害を防ぐといっても、貸し農園の区画サイズは人それぞれです。

10㎡前後の区画もあれば、5㎡だけの小さなコースや、20㎡以上の広めのコースもあります。「理想的な輪作表」だけを見ても、自分の区画にどう落とし込めばいいかイメージしにくいですよね。

ここでは、区画の広さに関わらず共通して使える「3グループ制のローテーション」と、10㎡を基準にした具体的な分け方のイメージを整理していきます。

まずは「3つのグループに分ける」だけで十分

貸し農園の連作障害対策をシンプルにするコツは、細かく分けすぎないことです。

初心者のうちは、次のように3つのグループに分けるイメージだけ持っておけば十分です。

  • 果菜グループ:トマト・ナス・ピーマン・キュウリ・カボチャ など
  • 根菜グループ:ジャガイモ・ダイコン・ニンジン・カブ など
  • 葉物・その他グループ:レタス・ホウレンソウ・ネギ・マメ類・ハーブ類 など

大雑把ですが、この3グループを「毎年入れ替える」だけでも、同じ場所に同じ科の野菜が続かないように調整しやすくなります。

細かい科の違いまで気にし始めると途端にハードルが上がるので、まずはここから始めてみてください。

10㎡前後なら「畝3〜4本」に区切ってローテーション

10㎡前後の標準的な貸し農園なら、「畝を3〜4本作り、それぞれに1グループずつ割り当てる」方法が分かりやすくておすすめです。

イメージとしては次のような感じです。

  • 畝A:果菜グループ(トマト・ナス・ピーマンなど)
  • 畝B:根菜グループ(ジャガイモ・ダイコンなど)
  • 畝C:葉物・ネギ・マメ類のグループ
  • +余裕があれば、ハーブや花のサブ畝をつくる

翌年は、畝Aに根菜を、畝Bに葉物を、畝Cに果菜を、といった具合に「ぐるっと一つずつずらす」だけで、3年かけてローテーションが一周します。

すでに公開している作付け計画の記事(10㎡のローテーション解説)とも相性が良い考え方です。

区画の形が縦長でも横長でも、この「畝ごとに役割を決めて1年ごとに回していく」考え方は共通して使えます。

まずは図面にざっくりと畝線を引き、各畝に「今年の担当グループ名」を書いてみましょう。

5㎡以下・15㎡以上の場合の考え方

区画が標準より小さい・大きい場合は、3グループの考え方はそのままに、畝の本数や株数で調整します。

  • 5㎡以下の小さめ区画:
    畝2本にして「果菜+葉物」「根菜+ネギ・ハーブ」のように組み合わせる。翌年は担当を入れ替えて簡易ローテーションに。
  • 15㎡以上の広め区画:
    畝4本以上に増やし、「果菜畝を2本」「根菜畝1本」「葉物+ネギ・ハーブ畝1〜2本」といった構成に。連作障害が気になるグループ(ナス科・ウリ科)は、なるべく複数の畝に分散させる。

どの広さでも共通しているのは、「まず畝ごとにグループを割り当てる」「翌年以降は畝の担当グループを入れ替える」という2ステップです。

ここさえ押さえておけば、貸し農園の連作障害対策は半分以上クリアできていると言ってよいでしょう。

次の章では、この3グループ制をベースにした「具体的な3年ローテーションモデル」を、貸し農園初心者でも真似しやすい形で紹介していきます。

初心者でも真似しやすい「3年ローテーション」モデル

初心者でも真似しやすい「3年ローテーション」モデル

ここからは、貸し農園で実際に使いやすい「3年ローテーション」のイメージを具体的に見ていきます。

区画の形や広さによって微調整は必要ですが、たたき台として「まずはこの型から始めてみる」という感覚で使ってください。

ここでは、10㎡前後の区画を3本の畝(A・B・C)に分けている前提で話を進めます。

1年目:果菜・根菜・葉物をそれぞれの畝に配置

まずはスタートとなる1年目です。畝ごとの担当グループを次のように決めます。

  • 畝A:果菜グループ(トマト・ナス・ピーマン・キュウリなど)
  • 畝B:根菜グループ(ジャガイモ・ダイコン・ニンジンなど)
  • 畝C:葉物・ネギ・マメ・ハーブのグループ

このとき、連作障害が出やすいナス科やウリ科は畝Aに集め、ジャガイモなどの根菜は畝Bに寄せておくと、翌年以降のローテーションが組み立てやすくなります。

畝Cは「つなぎ役」と考え、ネギやマメ類、レタスなど比較的連作に強い野菜を中心にしておくイメージです。

2年目:畝ごとに担当グループをぐるっと1つずらす

2年目は、畝そのものは動かさずに「担当グループ」をぐるっと入れ替えます。イメージとしては次の通りです。

  • 畝A:前年は果菜 → 2年目は根菜グループへ
  • 畝B:前年は根菜 → 2年目は葉物・ネギ・マメグループへ
  • 畝C:前年は葉物・ネギ・マメ → 2年目は果菜グループへ

こうすることで、ナス科・ウリ科・アブラナ科などの「連作に弱いメンバー」が、同じ場所に戻ってくるまで少なくとも2年あけることができます。

区画が広めの場合は、畝Aの果菜ゾーンをさらに2分割し、「ナス科」と「ウリ科」を別々のブロックに分けておくと、より安心感が増します。

3年目:さらにもう一段階ずらしてひと回り完了

3年目も同じルールで、畝ごとの担当グループをさらに一つずつずらします。

  • 畝A:2年目は根菜 → 3年目は葉物・ネギ・マメグループへ
  • 畝B:2年目は葉物・ネギ・マメ → 3年目は果菜グループへ
  • 畝C:2年目は果菜 → 3年目は根菜グループへ

この3ステップを終えると、「果菜→根菜→葉物(その他)」の流れで1周したことになります。

4年目はまた1年目の配置に戻してもいいですし、「2年目のパターンをベースに少しだけアレンジする」など、自分の区画の様子を見ながら調整していきましょう。

大事なのは、「3年間ずっと同じ畝に同じグループを置きっぱなしにしない」ことです。

貸し農園の区画は限られているので、完璧な輪作表よりも「自分が覚えていられるシンプルなルール」を優先したほうが、結果的に連作障害を防ぎやすくなります。

どうしても同じ場所に植えたいときの工夫とリスクの下げ方

どうしても同じ場所に植えたいときの工夫とリスクの下げ方

ここまで読むと、「本当は毎年トマトゾーンをここに固定したいんだけど…」「区画が狭くて、どうしても似た場所に植え直すことになりそう」というケースもあると思います。

貸し農園では、区画替えができない園も多く、教科書通りのローテーションが難しい人も少なくありません。

そんなときに、「もう連作はあきらめるしかない」ではなく、「リスクをできるだけ下げる工夫」を知っておくと気持ちが楽になります。

ここでは、部分的に連作になってしまう場合の具体的な対策をいくつか紹介します。

連作に弱い野菜は「年を空ける」か「株数を絞る」

まず押さえておきたいのは、「連作に弱い野菜ほど、同じ場所での年数と株数を抑える」という考え方です。

ナス科・ウリ科・アブラナ科の中でも、特にナス・ジャガイモ・キャベツなどは影響を受けやすいとされています。

どうしても同じ場所に置かざるを得ないなら、次のような工夫で負担を軽くできます。

  • 前年と同じ場所には「ミニトマト1株だけ」など、株数を最小限にする
  • 同じナス科でも、トマト→ナス→ジャガイモ…と種類を少し変えていく
  • 連作に強いとされる品種(台木利用の接ぎ木苗など)を選ぶ

完全に連作障害をゼロにはできなくても、「同じ野菜をびっしり植える」のと「種類と株数を絞る」のとでは、土への負担が大きく変わってきます。

貸し農園では、このあたりの「さじ加減」を覚えていくことも大切です。

土づくりでできることをセットで行う

部分的な連作を避けきれないなら、その分「土の状態をできるだけリセットしてあげる」意識を持つと安心です。

具体的には、次のような対策があります。

  • 前作の根をできるだけ丁寧に抜き取り、残渣を畝から出しておく
  • たい肥や完熟堆肥を入れて、微生物のバランスを整える
  • 土を深く耕しすぎず、表層と下層を極端にひっくり返さない
  • 苦土石灰などを使う場合は、入れ過ぎに注意しつつpHを適正に近づける

連作障害は、「土の中のバランスの崩れ」が積み重なって起こるものです。

完璧な輪作が難しくても、毎年の土づくりを丁寧に続けていけば、「多少の連作には耐えられる土」に育っていきます。

どうしても同じ場所に植える場合は「記録」を残す

最後にとても大事なのが、「どの場所に何年連続で何を植えたか」を記録しておくことです。

連作障害は1年でいきなり出ることもあれば、3〜4年目にじわじわ効いてくることもあります。

ノートやスマホアプリで畝ごとの履歴を残しておけば、「ここはナス科が2年続いたから、来年は別のグループに変えよう」「この場所は3年連続でアブラナ科なので、一度お休みさせよう」といった判断がしやすくなります。

記憶だけに頼らず、「自分なりのローテーション台帳」を作っておくことが、貸し農園で連作障害を防ぐいちばんの近道です。

次の章では、そのための具体的な記録方法や、緑肥・休ませ方を組み合わせた土づくりのポイントを紹介していきます。

土づくりと「休ませ方」で連作に強い畑を育てる

土づくりと「休ませ方」で連作に強い畑を育てる

連作障害を防ぐうえで、作付けローテーションと同じくらい大事なのが「土づくり」と「畝の休ませ方」です。

毎年のように野菜を育てる貸し農園でも、ちょっとした工夫を積み重ねるだけで、連作に耐えやすい土に育てていくことができます。

ここでは、初心者でも取り入れやすい土づくりの基本と、「全部の畝をフル稼働させない」ための考え方を整理しておきます。

たい肥と「入れ過ぎない」肥料で土のバランスを整える

連作障害というと難しそうに聞こえますが、根っこにあるのは「土の中のバランスの崩れ」です。

特定の養分だけを取り続けた結果として、病害虫が目立ちやすくなったり、根がうまく張れなくなったりします。

貸し農園では、まず「完熟たい肥を基本にして、化成肥料は入れ過ぎない」というシンプルな方針を持っておくと安心です。

たい肥は土の中の微生物の住処とエサになり、ふかふかの土づくりを助けてくれます。

一方、化成肥料をドカンと入れ過ぎると、一時的にはよく育っても、虫を呼び込みやすい柔らかい葉が増えてしまうこともあります。

「たい肥で土の土台をつくり、足りない分を肥料で補う」というイメージでやっていくと、同じ畝を何年も使う貸し農園でも連作障害が出にくい環境に近づいていきます。

全部の畝をフル稼働させない「お休みゾーン」を作る

区画を目いっぱい使いたくなりますが、あえて「お休みゾーン」を少しだけ作っておくと、長い目で見たときに畑が楽になります。

具体的には、1年に1本の畝、または畝の一部を「緑肥や花・ハーブ専用」にして、野菜をぎっしり植えないスペースを作る考え方です。

たとえば、こんな使い方ができます。

  • 春〜初夏:マメ類や緑肥(クローバー・エンバクなど)を育てて、終わったらすき込む
  • 夏〜秋:ハーブや花をメインにして、野菜は控えめにする
  • 冬:たい肥や落ち葉をすき込んで、次の春までじっくり寝かせる

毎年すべての畝に全力で野菜を詰め込むより、「今年はここを少し休ませる」という畝を作っていくほうが、結果的に連作障害が出にくく、作業量も分散できます。

ネギ・マメ・ハーブを「ローテーションの助っ人」にする

ネギやマメ、ハーブ類は、連作障害対策のうえでも心強い存在です。ネギは根に病原菌を抑える作用があるとされ、輪作のつなぎ役としてよく使われます。

マメ類は根に根粒菌(こんりゅうきん)という微生物を持ち、空気中のチッ素を取り込んで土に戻してくれます。

また、ローズマリーやタイム、ミントなどのハーブは、土を覆って乾燥を防いだり、一部の虫を寄せつけにくくしたりと、畑の環境づくりに役立つこともあります。

もちろん万能薬ではありませんが、「野菜だけでぎっしり」から一歩進んで、「ネギ・マメ・ハーブを混ぜる」意識を持つことで、土の環境を多様に保ちやすくなります。

連作障害を100%ゼロにするのではなく、「起きづらい畑にしていく」うえで、こうした助っ人たちを作付けローテーションの中に組み込んでいきましょう。

ローテーションを続けるための「記録術」と見直しのコツ

ローテーションを続けるための「記録術」と見直しのコツ

せっかく作付けローテーションのルールを決めても、「去年どこに何を植えたか」を忘れてしまうと、翌年の計画が立てづらくなります。

貸し農園の連作障害対策では、難しい理論よりも「自分の畑の履歴を残すこと」のほうが実は重要です。

ここでは、紙のノートでもスマホアプリでもできる、シンプルな記録の残し方と、見直すタイミングのコツを紹介します。

畝ごとに「何年目に何を育てたか」を1行メモするだけでもOK

記録といっても、最初から立派な農業日誌をつける必要はありません。まずは「畝ごとに何年目に何を育てたか」を1行メモしておくだけでも、連作障害対策には十分役立ちます。

例えば、ノートの1ページを使って次のような表を作るイメージです。

  • 畝A:1年目=トマト・キュウリ/2年目=ダイコン・ニンジン/3年目=レタス・ネギ・エダマメ …
  • 畝B:1年目=ジャガイモ/2年目=レタス・ホウレンソウ/3年目=トマト・ピーマン …
  • 畝C:1年目=レタス・ネギ/2年目=トマト・ナス/3年目=ダイコン・カブ …

細かい作業内容よりも、「何の科の野菜が何年続いているか」が分かれば十分です。

これだけでも、「この畝はそろそろアブラナ科をお休みしよう」「来年は果菜を別の畝に移そう」といった判断が格段にしやすくなります。

スマホ写真+簡単メモで「見返しやすい記録」にする

最近は、スマホで畝全体の写真を撮り、その写真に日付と一言メモを添えて残しておく方法も人気です。

「この畝にはトマト3株+バジル」「こっちはジャガイモ」など、ざっくりと写っていれば、あとから見返したときに配置が一目で分かります。

写真フォルダのアルバムを「貸し農園」として分けておいたり、メモアプリに「畝A」「畝B」の見出しを作って写真とセットで記録しておくと、翌年の作付け計画を立てるときにとても便利です。

すでに別記事で紹介している「区画の写真記録術」とも相性が良い部分なので、あわせて自分に合う方法を組み合わせてみてください。

見直すタイミングは「シーズン終わり」と「次の計画を立てる前」

せっかく記録をつけても、見返すタイミングがなければ次に活かせません。

おすすめなのは、次の2つのタイミングで記録を振り返ることです。

  • 秋〜冬に、その年の作付けとトラブルを書き足す(病害虫が出た場所、よく育った場所など)
  • 春に次の作付け計画を立てる前に、去年までの畝ごとの履歴をざっと眺める

この「振り返り→次の計画」のサイクルを2〜3年続けるだけでも、自分の貸し農園区画に合ったローテーションの感覚がだんだん身についてきます。

「この畝はトマトがよく育つ」「ここはどうもキャベツと相性が悪い」などの“体感データ”こそ、連作障害を防ぎながら長く楽しむための一番の財産です。

次の章では、ここまでの内容を踏まえつつ、「貸し農園 連作 障害」でよくある疑問にQ&A形式で答え、そのうえで記事全体のまとめと次の一歩を整理していきます。

貸し農園の連作障害でよくある質問(FAQ)

貸し農園の連作障害でよくある質問(FAQ)
貸し農園では、何年続けて同じ場所に植えると連作障害が心配ですか?

目安として、ナス科やウリ科・アブラナ科など連作に弱い野菜は、同じ場所で2年連続以上になるとリスクが高まりやすいと言われます。

貸し農園では区画替えが難しいことも多いので、「同じ畝に同じ科の野菜を2年続けたら、3年目は別グループに変える」といったゆるいルールを決めておくと安心です。

もうすでに同じ場所で3年連続トマトを育ててしまいました…。今からできる対策はありますか?

まずは、来シーズンはその場所を「トマト以外のグループ」に変えることを最優先にしましょう。

根菜や葉物、ネギ・マメ類など、科の違う野菜に切り替えるだけでも、土の負担はかなり変わります。

そのうえで、完熟たい肥をすき込み、前作の根や残渣をしっかり取り除くなどの土づくりを行うと、連作障害のリスクを下げやすくなります。

しばらくはトマトの株数を減らし、別の畝に分散させるのも有効です。

区画が狭くて、どうしても貸し農園で理想的なローテーションが組めません。

狭い区画では、「完璧な輪作表」を目指さないことがいちばん大事です。

3グループに分ける考え方は維持しつつ、「ナス科を1〜2株に絞る」「毎年品目を少しずつ入れ替える」「葉物やネギ・マメ類を間に挟む」といった工夫で、連作障害の負担を分散させていきましょう。

また、1年ごとに「お休みゾーン」を作り、そこでは緑肥やハーブを育てて土をリセットする方法も有効です。狭いからこそ、詰め込み過ぎない設計を意識してみてください。

貸し農園では、運営側が土づくりをしてくれていると連作障害は気にしなくても大丈夫ですか?

シェア畑のように、運営側が毎年たい肥や肥料を入れて管理してくれる貸し農園も多く、その分連作障害のリスクは下がりやすいです。

ただし、「同じ場所に同じ科を何年も続ける」といった極端な連作は、どんな畑でも負担になりがちです。運営の土づくりに頼りつつも、作付けローテーションの基本だけは意識しておくと安心です。

連作障害が不安で、「貸し農園は上級者向けなのでは?」と尻込みしてしまいます。

連作障害という言葉だけ聞くと難しく感じますが、「同じ場所で同じものを続けすぎない」「3つくらいのグループで回す」といった基本を押さえておけば、初心者でも十分対応できます。

むしろ、貸し農園は区画が小さいぶん、「試してみて、翌年にすぐ修正できる」のが大きなメリットです。

完璧な正解を求めすぎず、作付けローテーションを通じて少しずつ自分の畝の“クセ”を知っていく過程そのものを楽しんでもらえればと思います。

シンプルなローテーションで「貸し農園の連作障害」を怖がりすぎない

シンプルなローテーションで「貸し農園の連作障害」を怖がりすぎない

最後に、貸し農園での連作障害を防ぐうえで覚えておきたいポイントを、改めて整理しておきます。

  • 連作障害は、「同じ場所に同じ科の野菜を続けて植え過ぎる」ことで、病害虫や生育不良が起こりやすくなる現象。
  • 貸し農園では、区画を「果菜・根菜・葉物(+ネギ・マメ・ハーブ)」など3グループに分けて、畝ごとに毎年ローテーションするだけでも、リスクをかなり減らせる。
  • 完璧な輪作表よりも、「自分が覚えておけるシンプルなルール」と「たい肥中心の土づくり」を続けることのほうが大切。
  • どうしても同じ場所に植えるときは、株数を絞る・品種を変える・ネギやマメ類を混植するなど、負担を軽くする工夫を組み合わせる。
  • 畝ごとの記録を残し、2〜3年単位で「よく育った場所/トラブルが出やすい場所」を振り返ることで、自分の貸し農園区画に合った作付けローテーションに育っていく。

「貸し農園 連作 障害」と聞くと、最初は少し身構えてしまうかもしれません。

でも、やるべきことを分解してみれば、どれも特別なテクニックではなく、「同じ場所に植えっぱなしにしない」「土を疲れさせすぎない」「畝ごとの履歴を残す」といった、手の届く工夫の積み重ねです。

もし今、来シーズンの作付け計画で悩んでいるなら、まずは紙に区画の簡単な図を描き、「畝A=果菜」「畝B=根菜」「畝C=葉物・ネギ・マメ」と書き込んでみてください。

そのうえで、今年育てたい野菜の名前をグループごとに当てはめていくだけでも、「連作障害を意識したローテーション」の第一歩になります。

連作障害を完全にゼロにすることを目指すのではなく、「多少の失敗も含めて、毎年少しずつ畝の性格をつかんでいく」。そんな気持ちで、貸し農園との付き合いを長く楽しんでいきましょう。

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